自分が嫌いだった会社員が変わることができた1つの方法
瑛太さん(仮名)は、LivelyTalkのα版(プロトタイプ版)の頃からの利用者さん(LivelyTalkではメンバーと呼ぶ)です。本記事は、瑛太さんにご協力いただいたユーザーインタビューを元に、編集部が執筆し、ご本人に確認と許可を得て、公開しております。
とにかく何をやってもうまくいかない悪循環
仕事が生きがいと思っていたし、かなりやれている方だと思っていました。ところが前向きな気持ちで転職した新しい職場ではうまく馴染めず、社内では孤立していました。新しい提案をしても相手にされず、ミスをすれば責められ、プライドはズタボロでした。
「自分が支えてあげなきゃ」と思って結婚した相手との結婚生活は早々に終わりを迎え、離婚の訴訟で精神はすり減り、休日はシラフの時がないほど、お酒に走っていました。
ストレスで抜け毛は増え、暴飲のせいで体重はブクブクと増え、鏡に映る自分を見ても、覇気がなく、自分でも自分のことが嫌いになっていきました。「とにかく何をやってもうまくいかない」という気持ちに支配されていました。
今晩、オープンして待っています
そんな時でした。以前、オンラインのコミュニティで知り合った人(女性)が「オンラインで話を聴くことをしています。今晩、オープンして待っています」という投稿がX(当時はTwitter)で流れてきました。
コロナの最中ということもあり、「オンライン飲み会」なるものが巷では話題になっており、興味があっても、オンラインで繋いでまで飲みたい相手も、私の愚痴をわざわざ聞きたい人もいないだろうから、「お酒を飲みながら、話をするスナックみたいなものかな」という印象でした。
なので、最初は本当に「なんとなく気になった」という程度の弱い動機でした。
人生の転機は些細なことと言いますが、「人生の転機をあげなさい」と言われたら、この些細な発見をあげると思います。まさか自分の人生を変えるようなことになるとは、この時は全く想像していませんでした。
LivelyTalkとの出会い
Xに流れてきた投稿には、オープン時間とURLも添えられていました。これがLivelyTalk(ライブリートーク)というオンラインで話を聴いてもらうサービスとの出会いでした。
ちょうどオープン時間直前の時間でした。他に予定があるわけでもないし、「タイミング良いな」と思い、応援がてら行ってみようとサイトに飛んでみました。
まもなくオープンではあったのですが、かと言ってオープンしてすぐに入ったら、開店待ちの痛いやつと思われるのも嫌だなと思って(当時は何でもネガティブに捉えていたと思います)、LivelyTalkのサイトを巡回していました。
ホストと呼ばれる聴き手がどんな人なのか、どんな思いでホストをしているのかなどを読んでいました。色んな人がいましたが、どなたもまっすぐで、それでいて飾らない人柄がにじみ出ていて好感をもったことを覚えています。
あっという間に流れた時間
時間をつぶしていたら良い時間になったので、再度見に行ったらすでにオープンしており、トークにはまだ誰も入っていなかったので、自分が入れる状態なのを確認しました。
知り合いと言ってもさほど親しいわけでもないので、匿名で自分であることを隠して入ろうかなと思ったけど、「応援するために来ているんだから」と自分に言い聞かせて、自分が呼ばれているだろう名前にして顔出して入室しました。
ホストはすぐにわかってくれて、非常に喜んでくれました。そもそも人に喜んでもらって、感謝の言葉をかけてもらうこと自体が久しぶりのように感じました。もちろん、お店で買物をした時などに店員さんに「ありがとうございます」と言われることはありますが、ちゃんと感謝してくれていると感じられたのは久しぶりでした。
入る前は特に話すことも決めていなかったので、うまく話せるかなとちょっと不安だったんですが、不安は杞憂に終わり、ずっと自分が話していたように思います。詳しくは覚えていませんが、「仕事が大変」や「色々とうまくいかない」という愚痴をずっと話していたと思います。
今、思えば、愚痴を聴くのって大変だったと思うんです。でも、全然大変とか、嫌とか、そういう素振りはなく、話を遮ることも、意見やアドバイスをすることもなく、ただただ聴いてくれました。
本当に、あっという間に時が流れていきました。とても楽しい時間で、飲もうと思っていた用意していた数本の缶チューハイは、喉の乾きを潤す程度で、1本の半分も飲まずに話すのに夢中になっていました。
親のことが嫌い
私は、それから何度かLivelyTalkに通って、話をするようになったのですが、ふと親のことを口にしたことがありました。
私は正直、両親が嫌いでした。
子どもの頃から両親はことあるたびに「問題を起こすんじゃない」、「じっとしていなさい」と言われ続けてきました。
好奇心が旺盛で、色んなことをやってみたいのに、やるとすぐ怒られる。親に言うと止められるので、何でも黙ってやるのだけど、結局見つかって、散々に怒られる。そんなやり取りの中で、親を嫌いになっていったのだと思います。
実際に、大人になり実家を出てからは、実家に帰省することはなく、できれば親の顔は見たくないと思っていました。親からきた電話やLINEも基本は無視をしていました。
誰にも話したことがなかった話でした。というか、そもそも親のことを考えるのも嫌なので、全く気にしていませんでした。
「親は大切な存在ですよ」とか「たまには実家に帰った方が良いですよ」という言葉を言われたら、私はきっともう二度と人に両親のことを話さなかったかもしれません。
でも、「この人(ホスト)なら、たぶん何も言わずに聴いてくれるだろう」という信頼があったのかもしれません。不思議と、導かれるように自分は子どもの頃の辛かったことや、本当はこうして欲しかったということを話していました。この時も全く話を遮ることもなく、アドバイスをすることもなく、ただただ聴いてくれました。
忘れていた思い出
気づいたら、親との楽しかった思い出まで話している自分がいました。ベタ過ぎて、作り話みたいに思うかもしれませんが、一緒にキャッチボールした記憶が鮮明に蘇ったんです。
そんな思い出があること自体忘れていました。
言葉にして感情を吐き出してみると、「自分は感情的になっているな」と客観的に見ることができたんだと思います。親の嫌な記憶を強く持つことで、親のことを嫌いな自分を正当化しようとしていたのかもしれません。
でも、振り返ってみると、愛されていた思い出もあることに気づいたのでした。
親も自分のことが嫌いなんだと決めつけていたけど、親は愛し方を間違えただけかもしれません。ただ不器用なだけだったのかもしれない。そう思えるようになったら、「親を許さない」と思っていた気持ちにこだわるのもなんだか馬鹿らしい気がしてきました。
そして、今なら親と普通に向き合えるような気がしてきたのでした。
実家に帰って
アドバイスされたわけでもなく、強制されたわけでもなく、「今度、実家に帰ってみる」と自然と口をついている自分がいました。
不思議なもので、心の中のわだかまりはほとんどなく、数ヶ月前の自分だったら(LivelyTalkに出会う前の自分だったら)絶対に想像できない自分の行動ですが、実家に帰ることの抵抗はさほどありませんでした。
実際に実家に帰り、親と食事にも行きました。別に過去の清算をしようと思ったわけでもなく、何かを言わせたいわけでも、何かを伝えたいわけでもなく、普通に久しぶりに会う親と子がするような会話です。でもそんな話がしたかったのかもしれません。私にとっとはなかなか良い時間でした。
何よりも、ちょっと照れくさいですが、親が嬉しそうにしてくれたのが良かったです。
心の声を聴きたければ
LivelyTalkに出会って、さんざん愚痴も吐き出しましたが、吐ききった先に出会ったものは自分の本当の気持ちだったように思います。
きっと苦しい感情を抱えたまま、自分の中だけで考えても良い答えを出そうとしても出ず、また行動する力も湧いてこなかったのだろうと思います。話を聴いてもらうことでこんなにも心が軽くなり、人生が前向きになるんだということを経験できたのは私の人生にとってとてもかけがえのないできごとになりました。
自分をもっと変えたいと思い、ランニングをはじめ、お酒を呑む量もかなり減りました。結果体重はピーク時から20kg減り、いよいよフルマラソンに挑戦しようというところまできました。
会社では良く相談されるようになりました。以前は、いつもイライラしてて、眉間にいつもシワを寄せてるんだから関わりたくないですよね。結局、職場に馴染めず、孤立していたのは、まわりのせいではなく、自分がまわりを寄せ付けていなかっただけでした。職場の人たちにも「すごい変わりましたよね」とか「表情が違いますよね。前は本当に近づきがたかったです(笑)」と言われるようになりました。なので、随分と変われたんだと思います。
会社以外の活動でも、自分の好きなことには積極的に飛び込んでみようと思って、かなり活動的になりました。
自分で言うのも変な話ですが、鏡に映る自分は、前よりも自信をもっていて、以前の自分より遥かに好きですね。
以下は、「過去の自分に何かアドバイスがありますか?」という質問に対しての回答(ほぼ原文まま)
まず、膿を出しきらないといけないですね。とにかく全部出しきる。そのためには、お前(つまり自分)はとことん話を聴いてもらう必要があるよ。うまく話そうとか、理論立てて話そうとする必要もないし、思いついたことを脈絡なく話したら良い。そのうち、こんがらがった糸は自然にほどけて、心の中のわだかまりはとけて無くなるから。悲しかった記憶も、報われなかった思いも、きっと全部抱きしめられるようになる日がくるから。その日がくるまで、寄り添ってくれる人がLivelyTalkにはいるから大丈夫だよ。それが、過去の自分に伝えたいことですね。