24時間オンライン従業員相談サービス導入のすべて|メリットからROIまで徹底解説

企業のメンタルヘルス対策として注目される24時間オンライン従業員相談サービス。導入メリット、ROI、成功事例を解説。離職防止・生産性向上に効果的なEAP選びのポイントを人事担当者向けに紹介します。

目次

はじめに

企業における従業員のメンタルヘルス問題が深刻化しています。厚生労働省の調査によれば、メンタルヘルス不調が原因で休職した労働者の割合は0.4%、退職した割合は0.1%に達しています。これは単に個人の問題ではなく、企業の生産性や業績を左右する重大な経営課題となっています。

現代のビジネス環境において、従業員の心身の健康管理は企業の持続的成長に不可欠な要素です。特に新型コロナウイルス感染症の影響も相まって、グローバルではうつ病性障害患者が5,300万人超、不安障害患者が7,600万人超増加したという研究結果も報告されています。

こうした状況の中で注目を集めているのが、24時間オンラインで利用可能な従業員相談サービス、いわゆるEAP(Employee Assistance Program:従業員支援プログラム)です。本記事では、24時間オンライン従業員相談サービスの最新動向、導入メリット、投資対効果(ROI)、そして選び方のポイントについて徹底解説します。

24時間オンライン従業員相談サービスとは?最新動向と基本情報

EAP(従業員支援プログラム)の基本概念

EAPとは、Employee Assistance Programの略称で、日本語では「従業員支援プログラム」と訳されます。企業が従業員とその家族の心身の健康や仕事上の問題解決を支援するためのプログラムです。

EAPの発祥はアメリカで、1960年代にアルコール依存症対策として誕生しました。現在のアメリカでは、総収益ランキング上位500社の90%、上位100社においては100%の企業がEAPを導入しており、「人を大切にする企業の象徴」として広く認知されています。日本では1980年代後半から徐々に導入が始まり、特に2000年に厚生労働省が「事業場の労働者の心の健康づくりのための指針」を施行したことで注目を集めるようになりました。

従来型EAPと24時間オンラインEAPの違い

従来型のEAPは対面カウンセリングが中心でしたが、近年のテクノロジーの発展により、24時間オンラインで利用可能なEAPサービスが急速に普及しています。その主な違いは以下の通りです:

  • アクセシビリティ: 従来型は平日の営業時間内に限定されることが多いのに対し、24時間オンラインEAPは文字通り24時間365日いつでもアクセス可能
  • 利用方法: 従来型は事前予約が必要な場合が多いのに対し、オンラインEAPはスマートフォンやタブレットからすぐにアクセス可能
  • 匿名性: オンラインサービスでは、顔を合わせる必要がなく、より匿名性を保ちやすい
  • 対応範囲: 従来型は主にメンタルヘルス相談に限られる傾向があったが、現代のEAPはキャリア相談や法律相談など幅広い問題に対応

アメリカの研究者らによる調査では、「オンデマンド型のビデオ会議システムにより、従業員が必要なときにすぐ相談できることで、メンタルヘルスサービスの利用率向上につながる」と指摘されています。

日本における市場動向

日本のEAP・メンタルヘルス市場は、2017年の厚生労働省によるストレスチェック義務化以降、急速に拡大しています。富士経済グループの調査によれば、EAP市場規模は継続的に成長しており、特に企業の健康経営への関心の高まりが追い風となっています。

また、近年ではリモートワークの普及や新型コロナウイルスの影響もあり、「離れて働く従業員の健康支援」のニーズが高まっています。産業保健サービスを提供している株式会社エムステージによれば、このような状況を背景に企業からのEAP導入に関する相談が増加傾向にあるとのことです。

法令対応の観点から見た重要性

24時間オンライン従業員相談サービスは、単なる福利厚生ではなく、法令遵守の観点からも重要性を増しています。

2019年に成立したパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)では、事業主に対して「相談窓口の設置」が義務付けられました。また、労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度も、50人以上の従業員を抱える企業に義務化されています。

EAPサービスはこれらの法的要件を満たしながら、より包括的なサポートを提供できるという利点があります。特に24時間対応のオンラインEAPは、従業員が時間や場所を選ばずに相談できる環境を整え、法令対応と従業員ケアの両立を実現します。

24時間オンライン従業員相談サービス導入の5つのメリット

メリット1:早期発見・早期対応によるメンタルヘルス不調の予防

24時間オンライン相談サービスの最大のメリットは、従業員のメンタルヘルス問題を早期に発見し、適切に対応できる点です。従業員が気軽に相談できる環境があることで、問題が深刻化する前に専門家のサポートを受けることができます。

米国の研究では、EAPを利用した従業員のうち、カウンセリング前にはおよそ半数が「プレゼンティーイズム」(出勤はしているが心身の不調により生産性が低下している状態)に陥っていましたが、カウンセリング後にはその割合が4分の1まで減少したという調査結果も報告されています。

メリット2:離職率低下とそれに伴う採用・教育コストの削減

メンタルヘルスの不調や職場での人間関係の悩みが原因で離職を考える従業員は少なくありません。24時間オンライン相談サービスの導入により、こうした問題を早期に解決することで、優秀な人材の流出を防ぐことができます。

研究によれば、EAPサービスの導入によって従業員の離職率が5〜39%低減されるという結果も示されています。従業員の採用・教育にかかるコストを考えると、この効果は企業にとって大きな経済的メリットとなります。

メリット3:従業員の生産性向上と組織パフォーマンスの改善

メンタルヘルスの問題は、単に休職や離職だけでなく、出勤していても生産性が低下する「プレゼンティーイズム」を引き起こします。24時間オンライン相談サービスは、こうした問題の解決を支援することで、従業員の生産性向上に寄与します。

実際、米国の調査では、EAPカウンセリングの利用により、従業員の欠勤率が約40%減少し、仕事への取り組み姿勢が6.3%向上したという結果が報告されています。また、職場のストレスによる不調も24.2%減少したことが確認されています。

メリット4:企業イメージ向上と人材獲得競争での優位性

従業員の健康と福祉を重視する企業文化は、社内だけでなく社外からの評価にも直結します。24時間オンライン相談サービスの導入は、企業が従業員を大切にしているというメッセージを発信することにつながります。

特に若い世代の求職者は、給与だけでなく企業の福利厚生や価値観を重視する傾向があります。こうした人材獲得競争においても、24時間オンライン相談サービスは強力な武器となります。

メリット5:24時間利用可能による時間的制約の解消

従来の相談サービスでは、平日の営業時間内にしか利用できないという制約がありました。しかし、悩みやストレスは営業時間内に収まるものではありません。24時間オンラインサービスは、従業員が最も必要とするタイミングでサポートを提供できます。

特に夜間や休日に不安を感じる従業員、シフト勤務や海外出張の多い従業員にとって、24時間利用可能なサービスは大きな安心感をもたらします。

投資対効果(ROI)から見る24時間オンライン相談サービスの価値

EAP導入による具体的なROI事例と数値データ

24時間オンライン相談サービスの導入は、コストではなく投資と捉えるべきです。実際、複数の研究により、EAPサービスの導入がもたらす投資対効果(ROI)は非常に高いことが示されています。

米国の調査によれば、EAPサービスを利用した従業員一人あたり、年間約10,187.99ドル(約150万円)の生産性向上に相当する効果があるとされています。また、英国の研究では、EAPへの1ポンドの投資に対して平均7.27ポンドのリターンがあるという結果も報告されています。

さらに、ハーバード大学の研究では、健康関連のウェルネスプログラムへの投資は、1ドルあたり3.27ドルの医療費削減効果と、2.73ドルの欠勤コスト削減効果をもたらすという結果も出ています。

企業規模別の費用対効果分析

企業規模によってEAP導入の費用対効果は異なります。一般的に、以下のような傾向があります:

  • 大企業(従業員1,000人以上): スケールメリットが大きく、従業員一人あたりのコストは比較的低くなります。また、休職者や離職者が多い場合は、その削減効果も大きくなります。
  • 中堅企業(従業員100〜999人): 導入コストと効果のバランスが取りやすく、最もROIが高くなる傾向があります。特に従業員の定着率向上効果が顕著に表れます。
  • 小規模企業(従業員100人未満): 初期投資の負担感は大きいものの、少人数であるがゆえに一人の離職が与える影響も大きく、EAP導入による安定した人材確保の効果は無視できません。

近年では、クラウドベースの24時間オンラインEAPサービスが普及したことで、小規模企業でも手頃な価格で導入できるようになりました。規模に関わらず、企業の課題や目標に合わせたカスタマイズが可能になっています。

直接的効果と間接的効果の総合評価

24時間オンライン相談サービスの投資対効果を評価する際には、直接的効果と間接的効果の両方を考慮することが重要です。

直接的効果:

  • 欠勤・休職の減少(約40%の削減効果)
  • 医療費・保険料の削減
  • 離職率の低下(5〜39%の削減効果)
  • 採用・研修コストの削減

間接的効果:

  • 職場の雰囲気の改善
  • チームワークの向上
  • 企業イメージの向上
  • 顧客満足度の向上
  • 労働災害リスクの低減

こうした効果を総合的に評価すると、24時間オンライン相談サービスの導入は、企業の持続的成長を支える重要な投資と言えます。特に「従業員の健康=企業の健全性」という健康経営の考え方が広まる中、その価値はますます高まっています。

ROI最大化のための運用ポイント

24時間オンライン相談サービスの投資対効果を最大化するためには、単に導入するだけでなく、効果的な運用が欠かせません。以下の運用ポイントを意識しましょう:

  1. 利用促進のための周知活動: 従業員がサービスを認知し、抵抗感なく利用できるよう、定期的な案内や説明会を実施する
  2. 経営層のコミットメント: 経営層が率先してメンタルヘルスの重要性を発信し、サービス利用を推奨する企業文化を醸成する
  3. 効果測定と継続的改善: 利用率や満足度、休職率などの指標を定期的に測定し、PDCAサイクルを回す
  4. 他の健康施策との連携: ストレスチェックや健康診断、健康増進活動など、他の健康施策とEAPを連携させ、相乗効果を生み出す
  5. プライバシー保護の徹底: 相談内容の秘密厳守を徹底し、従業員が安心して利用できる環境を整える

これらのポイントを押さえることで、24時間オンライン相談サービスの投資対効果を最大限に高めることができます。

成功する24時間オンライン従業員相談サービス選びの4つのポイント

企業に最適な24時間オンライン従業員相談サービスを選ぶためには、以下の4つのポイントを重視しましょう。

ポイント1:24時間365日のアクセシビリティ確保

真の意味での「24時間対応」を提供しているかどうかを確認することが重要です。特に以下の点に注目しましょう:

  • 祝日や年末年始を含む365日対応か
  • 電話、チャット、ビデオ通話など複数のアクセス手段が提供されているか
  • 海外駐在員や出張者も利用できるグローバル対応か
  • 対応言語(日本語だけでなく英語など複数言語対応か)

従業員のニーズは時間帯や状況によって異なります。特にメンタルヘルスの問題は夜間や休日に発生することも多いため、真の24時間対応は不可欠な要素と言えるでしょう。

ポイント2:専門資格を持つカウンセラーによる質の高いサポート

相談対応者の質は、サービスの効果を左右する重要な要素です。以下の点を確認しましょう:

  • 臨床心理士、精神保健福祉士、産業カウンセラーなどの専門資格保有者が対応しているか
  • 医師、保健師、看護師などの医療職との連携体制があるか
  • カウンセラーの企業勤務経験や組織内の問題に対する理解度
  • 特定の専門分野(ハラスメント、キャリア、育児など)に対応できる専門家が在籍しているか

質の高いカウンセリングは単なる「話を聞く」以上の効果をもたらします。従業員の状況に応じた具体的な解決策を提案できる専門家の存在が重要です。

ポイント3:匿名性・秘密保持体制の徹底

従業員が安心して相談できる環境を確保するためには、匿名性と秘密保持体制が不可欠です。以下の点を確認しましょう:

  • 相談内容の秘密保持に関する明確なポリシーがあるか
  • 企業への報告内容と範囲が明確に定められているか
  • 匿名での相談が可能か
  • データセキュリティ対策が十分か(暗号化通信、アクセス制限など)

従業員が「相談したことが会社に知られるのではないか」という不安を抱えていると、サービスの利用率は低下します。特に機微な内容を含むメンタルヘルス相談では、徹底した秘密保持体制が信頼の基盤となります。

ポイント4:効果測定と改善サイクルの構築

導入効果を把握し、継続的に改善するためのデータ提供やサポートが充実しているかも重要なポイントです:

  • 利用状況レポート(相談件数、テーマ別割合、部署別利用率など)の提供
  • ROI算出のための指標測定
  • 効果的な周知・利用促進のためのツール提供
  • 定期的なレビューミーティングや改善提案

単にサービスを導入して終わりではなく、PDCAサイクルを回して継続的に効果を高めていくための仕組みがあるかどうかは、長期的な成功を左右する重要な要素です。

LivelyEAP:アクティブリスニングを中心とした次世代型24時間オンライン相談サービス

LivelyEAPの特徴と「カジュアルEAP」の概念

LivelyEAPは、従来のEAPサービスとは一線を画す「カジュアルEAP」という新しいアプローチを提供しています。その特徴は以下の通りです:

  • アクティブリスニング(積極的傾聴)中心のアプローチ: 単なる問題解決だけでなく、従業員の話に真摯に耳を傾け、共感的理解を示すことで心理的安全性を確保
  • カジュアルな利用感: 深刻な不調だけでなく、日常的なストレスやパフォーマンス向上も対象とした敷居の低いサービス
  • 予防的アプローチ: 問題が深刻化する前の早期段階からのケアを重視
  • 匿名性と簡便さ: 実名登録不要で、スマートフォンから簡単にアクセス可能
  • 質の高いホスト: 厳しい審査(合格率2.8%)を通過した質の高い「聴き手(ホスト)」が対応

LivelyEAPは単なる「相談窓口」ではなく、従業員が日常的に活用できる「心のサポートシステム」として機能します。気軽に利用できる点が特徴で、メンタルヘルスの問題に対する予防的アプローチを実現しています。

アクティブリスニング研修との連携による組織全体のケア

LivelyEAPの大きな特徴の一つは、オンライン相談サービスだけでなく、アクティブリスニング研修を組み合わせた包括的なケアプログラムを提供している点です。

アクティブリスニング研修を通じて管理職や従業員が傾聴スキルを身につけることで、組織全体のコミュニケーション品質が向上します。これにより、日常的な職場環境の改善と問題の早期発見・対応が可能になります。

こうした「聴く文化」の醸成は、メンタルヘルス不調の予防だけでなく、チームワークの向上や創造性の発揮にもつながる重要な組織資産となります。

まとめ

24時間オンライン従業員相談サービスは、単なる福利厚生の一環ではなく、企業の持続的成長を支える重要な戦略的投資です。従業員のメンタルヘルスケアは、離職防止、生産性向上、企業イメージアップなど、多面的な効果をもたらします。

特に以下の点が重要です:

  1. 24時間対応の重要性: 従業員の悩みやストレスは営業時間内に収まるものではありません。いつでもアクセスできる環境が、早期発見・早期対応の鍵となります。
  2. 高いROI: 研究結果が示すように、EAPへの投資は平均で1ドルあたり3〜7ドル以上のリターンをもたらします。これは単なるコストではなく、収益性向上につながる投資と言えるでしょう。
  3. 選定のポイント: 24時間365日のアクセシビリティ、専門家による質の高いサポート、匿名性・秘密保持体制、効果測定と改善サイクルの4点を重視した選定が重要です。
  4. カジュアルEAPの可能性: LivelyEAPが提唱する「カジュアルEAP」は、問題が深刻化する前の予防的アプローチを実現し、より効果的なメンタルヘルスケアを可能にします。

企業の最大の資産は「人材」です。その人材が心身ともに健康で能力を最大限に発揮できる環境を整えることは、企業の競争力向上に直結します。24時間オンライン従業員相談サービスは、そんな「人を大切にする企業」を実現するための強力なツールとなるでしょう。

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参考文献

  1. 厚生労働省(2022)「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」https://www.mhlw.go.jp/
  2. Lancet(2021)「Global prevalence and burden of depressive and anxiety disorders in 204 countries and territories in 2020 due to the COVID-19 pandemic」
  3. 富士経済グループ(2023)「ヘルステック・健康ソリューション関連市場の調査結果」
  4. シードプランニング(2022)「EAP・メンタルヘルス市場動向調査」
  5. Harvard Business School(2019)「The Return on Investment of Employee Wellness Programs」
  6. Journal of Employee Assistance(2020)「Workplace Outcome Suite (WOS) Annual Report: 2020」
  7. Employee Assistance Programme Association(2022)「The ROI of Employee Assistance Programmes」
  8. Health at Work Centre(2024)「Employee Assistance Programme (EAP)」https://healthatworkcentre.org.uk/
  9. Deloitte(2022)「Mental health and employers: The case for investment – pandemic and beyond」
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