「聴く」で孤独を解消するLivelyTalkを支える原体験
株式会社Livelyは、「聴くコミュニケーションにチャンスをつくり、孤独を減らす」ことを企業のパーパスに、話して脳と心の回復を促すオンラインサービス”LivelyTalk(ライブリートーク)を運営中です。
思考の整理やちょっとした息抜きに、話すことで心の余白をつくり、自分を客観視できるようになることで、日々をさらに充実させるためのサービスです。LivelyTalk内に登録している聴くプロに、予約なしでふらっと10分でも、ゆっくり1時間でも好きな時に話をきいてもらう、そんなサービスです。
LivelyTalk誕生の背景 専業主婦からのベンチャー起業
社会と断絶された専業主婦時代
はじめまして、Lively代表の岡えりです。
私は、元々作業療法士という医療職として働いていました。しかし3人育児と仕事の両立に限界を感じ、専業主婦になりました。専業主婦だった私が、ベンチャーであるLively社を起業し、LivelyTalkが生まれた背景は、私の原体験にあります。
専業主婦だった私は、結婚して3人の子どもに恵まれ、自分の望んだ生活が目の前にある。それなのに、気持ちが落ち込むようになりました。
当時は「私は何も生み出していない」、「私は誰の役にもたっていない」と自分の存在意義が見いだせなくなっていたのだと思います。子どもを寝かしつけたあとに涙が止まらない夜が続き、自分でもどうしていいのかわからなくなっていました。
「ワンオペ子育てをしている」、「夫は多忙で、すれ違いばかり」、「仕事をしていないので社会との繋がりが奪われた」と愚痴が出た時に、環境のせいにしている自分がいることに気づきました。
そして、私の出した結論は「自分を変えよう」でした。
さっそく、ネットで職探しと子どもの預け先を調べました。しかし、未経験で子どもがいても融通の利く仕事はあまりありませんでした。
子どもを預けて働くにも、一番経済的な負担が少なく預かってくれるファミリーサポートを利用しても、預ける子どもの分がかかることを考えると、正直近所でパートの仕事では、働くほどに赤字がつづくという状態でした。それでも働きたいと思って、「何かないものか」と探しました。
オンラインで会話する仕事との出会い
そんな中、すがる思いでたどり着いたのがオンラインで人と会話をする仕事でした。
「これなら在宅で、子どもがお昼寝している間や夜中にできる。預け先を探す必要もないし、隙間時間にできるので子どもが体調を崩しても職場に迷惑をかけることもない」
そう思って、未経験で不安もありましたが、勢いでスタートしました。
見ず知らずの人と会話に緊張してうまく話せないこと、何を言っていいのか分らず相手に通話を切られてしまうこと、心無いと感じる言葉を浴びせられることもありました。
「私には向いていない…」と何度も心が折れそうになりました。
それでも、「諦めたらそこで試合終了だ」と自分に言い聞かせ、コツコツ続けました。
自分が話すことではなく聴くことにフォーカスしてからは、次第に感謝の言葉を多くもらうようになり、嫌なことを言われることも減りました。
リピートのお客様が増えていき、気がつけば収入も会社員時代をはるかに超えていました。
「生きる希望をありがとう」
この仕事を通じて、コミュニケーションの価値を感じる出来事がありました。
ある40代の会社員の男性のお客さまの話です。
「とにかく自分のことを知らない誰かと話がしたい」という気持ちを抱えて、駆け込み寺のようにやってきたそうです。
最初の頃は、笑いながら雑談だったり、どんな人生を歩んできたかなどを聴かせてもらっていました。日に日に自己開示してくれるようになると、お客さまの抱えているつらい状況を聴かせてもらえるようになりました。
「会社で人に裏切られ、退職へ追い込まれ、心が病み、精神科に通うようになり、髪の毛が抜けるほどになった。それでも家族を養うためにカツラをかぶって仕事も続けていた。その家族との関係性も、非常に悪いという状況で、壊れるぎりぎりの気持ちで生きてきた。
そう震える声で話してくれました。
雑談のときは明るく冗談を言い合うような会話をしていた彼の背景には、表ではわからない姿が隠されていていました。
「二度と人を信じられないと思っていた。でも、あなたと話していると、もう一度、人を信じて生きてみようと思えるようになった。あなたから、生きる希望を与えてもらった。本当にありがとう」
その言葉を聞いた時、涙が溢れました。
他にも書き切れないほど、コミュニケーションを通して胸が熱くなるような瞬間に立ち会うことができました。私の「聴く」が誰かの希望になれる。働く喜びでした。私にとっても、「聴く」仕事は生きる希望になっていました。
孤独は万病の元
孤独は社会問題化しています。
誰にも本音を話せずに孤独を抱えていたり、私のように働く事ができなかったり、様々な理由で孤独を感じている人はもっと多くいるはずです。
内閣府は長引くコロナ禍の影響により、孤独・孤立の問題が社会問題として一層深刻化・顕在化する中、2021年2月より、孤独・孤立対策担当大臣が司令塔となり、孤独・孤立対策を推進しています。
2021年12月の同担当室の調査によると、43.4%の人が孤独感が「常にある」「ときどきある」という結果になりました。
引用元)人々のつながりに関する基礎調査(令和3年)調査結果の概要
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodoku_koritsu_taisaku/zittai_tyosa/tyosakekka_gaiyo.pdf
孤独による健康への悪影響は実に多岐にわたります。生活や生きがい、ストレスなどのプロセスの中で、最終的に健康や命に大きく関わります。
うつ病、統合失調症、薬物やアルコールの乱用といった精神的な疾患と同時に、心臓病、血管疾患、がんなど、ありとあらゆる病気のリスクを大幅に高めることがわかってきています。
孤独は他人事ではない
上記データからも、孤独は潜在的に社会にはびこっていることは否定し難いと言えます。
仕事や家事育児に忙しくしているときは孤独を感じないのに、ふと一人になった時に孤独を強く感じるのは、本当は人とつながりたいのに、求めているつながりが得られていないからと言えます。
一方で、「私は孤独だ」と孤独を自覚している人は多くないとも言えます。
それは、白(孤独ではない)と黒(強く孤独を自覚している)の間に長い灰色(自覚はないが孤独を感じている)が多く存在するからだと考えています。
私たちはこの灰色を”潜在孤独”と呼んでいます。
一見華やかに見えて、周囲にも多くの人がいたはずの人が突然自殺をするといったことが起こるのも、灰色の期間に徐々に潜在孤独が大きくなっていき、黒になった時にはすでに精神的な追い込まれていて手遅れになっているのではないかと考えています。
Lively社ではこの黒になる前の”潜在孤独”の課題解決をしたいと考えています。
言い換えるならば、多くの孤独を自覚していないが、本人が求めている社会的なつながりが得られていない人にこそLivelyTalkに出会ってもらいたいと考えています。
人に相談する、話を聴いてもらうの敷居を下げる
しかし、潜在孤独を感じている人は、コーチングやカウンセリングに対してあまり積極的とは言えません。わたし自身もそうでした。まわりには笑顔で平気なふりをして、一人で抱え込んで誰にも相談できずに鬱々とした日々を過ごす時期がありました。
「みんな頑張ってるから苦しいのは私だけじゃない」、「相談して心配かけたくない」、「的外れなアドバイスをされたらもっと落ち込んでしまいそう」という相談することへの遠慮や、勇気をだして相談したのにもかかわらずちゃんと受けてもらえなかったと悲しい経験し、人に話すことへのハードルを抱えている人もいます。
だからといって、カウンセリングはさらにハードルが高く、「私はカウンセリングをうけなきゃいけないほど駄目なんだ」とネガティブな気持ちになってアクションできないことすらあります。
そのため、LivelyTalkでは、日常の中で気軽に前向きな気持ち体験できるものにすることをこだわりました。せっかく会話をしようと思ってきてくれたからには、絶対に残念な気持ちにならないよう、聴くことに徹してくれる日本全国から集まったプロの聴き手を厳選採用(採用率3%以下)しています。
多種多様な聴き手がいるので、この悩みがある時はこの人に、この気分の時はこの人に話そうと誰と話すかを選ぶ事も楽しみにしてもらいたいと思っています。
人はそれぞれ違った人生を歩んでいます。似たような悩みでも答えは一つではありません。それぞれの人生にそれぞれの答えがあると思っています。だからこそまずは自分の気持ちに気付くことが大切であり、私たちは話すことでそのサポートができればと思っています。
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聴くコミュニケーションにチャンスをつくり、孤独を減らす
「聴いてもらうことで元気になれる」ということを体験として知っている人はまだまだ多くありません。人を元気にする「聴く」という仕事もまだまだ一般的ではありません。
だから、Livelyは「聴くコミュニケーションにチャンスをつくり、孤独を減らす」というパーパスを掲げ、挑戦をつづけます。
私自身、過去の辛かった経験も、全てが人とのコミュニケーションを取る上で糧になっていました。大変なことも含めて、人生経験はそのまま、誰かの支えになる、誰かを勇気づける、誰かを癒やす武器になります。
どんどん便利になっていく世の中だからこそ、必要とされるのが「人と人とがつながるコミュニケーション」なのだと信じています。多くの人に届くことを信じて、愛されるサービスを目指して、がんばります。